ナノファイバーによる三次元構造体作製技術

2022.09.06

工学部 アグリ・バイオ ライフサイエンス ナノテク・材料ものづくり技術
ナノファイバー エレクトロスピニング 三次元構造体 ハイドロゲル 細胞培養

概要

●発明の名称:三次元構造体の製造方法、三次元構造体、および細胞培養用足場材

 

●出 願 番 号 :特開2021-111134

 

●発 明 者:藤田 聡

 

 ナノファイバーを紡糸する技術としてエレクトロスピニング法(以下ES法)があります。この方法で紡糸された繊維は空隙率、細孔性、透過性など多くの面において優れており、医療用途や工業用途など様々な用途展開が期待されます。一方で、従来のES法では平面シート、チューブ状のものは製造できても、三次元構造体、特に袋状などの中空体を製造する事は極めて困難でした。

 

 本発明ではハイドロゲルや高粘性の液体、ポリマーなどで作成した鋳型表面に微細ファイバー膜(ES法によって紡糸)を形成させた後、鋳型を除去することで三次元構造体を作成する技術を提供します。鋳型となるゲルビーズの形状を変えることにより、中空の三次元構造体を自由に作成することができ、ナノファイバー構造体の内面に、鋳型表面の形状や化学物質を転写することも可能です。 また、ナノファイバーとして、コラーゲンや多糖の生体高分子から成るゲルファイバーでも利用可能なことから、生物学研究や薬理評価に有用な臓器モデルの作製や、人工血管等の医療デバイスへの応用にも繋がります。

 

新技術の特徴

・鋳型のマクロな構造と、ナノファイバーの微細構造を両立しうる階層的な三次元構造体の形成が可能
・合成高分子だけでなく、ゲル状の天然高分子など、種々の材料で利用可能
・鋳型に応じて自在にサイズ・形状を制御可能

 

想定される用途

・人工血管・人工弁等の再生医療用デバイス・足場材料
・研究用・薬物評価用の細胞組織モデル
・指や顔等の複雑な表面の形状にフィットする創傷被覆材・貼付材

研究者

藤田 聡 工学部 繊維先端工学講座