塗膜やめっき膜等の表面皮膜密着性を簡便かつ正確に測定するテープ剥離試験装置

2021.09.08

産学官連携本部 特許 ナノテク・材料ものづくり技術
テープ剥離試験 表面皮膜 密着性 めっき 塗装

概要

●発明の名称:テープ剥離試験装置及びこのテープ剥離試験装置を用いた付着性の評価方法

 

●出 願 番 号:特開2021-131328

 

●発 明 者:浪江将成、米沢晋、金在虎

 

 基材基材層に形成されたメッキ、塗膜、有機薄膜又は無機薄膜などの付着層の付着性を評価するための手法としては、クロスカットテープ剥離法が知られている。この手法では、前記基材層に前記付着層が形成された被検査体の前記付着層に、鋭利な刃物で前記基材層に到達するまで升目状に切れ目(条痕)を入れた後、粘着テープを前記試験片の表面に貼着し、前記粘着テープを前記付着層に対して垂直に引っ張りながら引き剥がして、引き剥がした後の前記粘着テープの粘着面への前記付着層の付着の有無から、前記基材層に対する前記付着層の付着性の評価を行うものである。

 

 テープ剥離試験法は、間便な付着性評価法としてよく利用されている反面、作業者ごと被検査体毎に、被検査体に対するテープ貼り付け状態や剥離の状態にバラツキがあり、客観的で正確な付着性評価を行うことは困難であるという問題がある。例えば、正確な付着性評価を行うには気泡を入れることなく均一に粘着テープを被膜に貼着する必要があるが、気泡が入らないように粘着テープを貼着する作業は非常に難しく、熟練を要する、また、被膜に対する粘着テープの垂直性を維持しながら、一定速度で前記粘着テープを引き剥がす作業は困難で、作業者によって、また、テストピースごとに引き剥がしの条件が変化する。そのため、安価で簡易な手法でありながらテープ剥離試験法による評価結果は参考程度にしかならないという問題があった。

 

 本発明では、①テープの貼付け、剥離の過程から任意性を極力排すること 

       ②被験面の水平からの傾きの影響を受けないこと

       ③クロスカットの際に正確かつ再現性良く切れ目を入れること を実現する装置及び方法を提供する。

 

本テープ剥離試験装置は、基材層に形成されたメッキや塗膜、有機又は無機薄膜などの付着層の付着性の評価に広く用いることができ、半導体基板におけるメッキなどの付着性評価に限らず、例えば金属や樹脂などへの付着層の付着性評価、車輌や船舶、建築物などの付着層の付着性評価にも適用が可能である。 また、単層に限らず多層の付着層の付着性評価にも適用が可能である。

研究者

米沢 晋 産学官連携本部