高分子ブラシとブロック共重合体を利用した分子面ファスナー

2021.09.07

工学部 特許 ナノテク・材料ものづくり技術
高分子界面 ブロック共重合体 アンカー 界面改質 異方的接着

概要

●発明の名称:接着構造体、接着構造体の製造方法、および異方性界面改質剤

 

●出 願 番 号 :特願2020-022331

 

●発 明 者:平田 豊章

 

 接着は大きく機械的結合、物理的相互作用、化学的相互作用の3つに分類され、機械的結合はアンカー効果とも言われるもので、材料表面の孔や谷間に液状接着剤が入り込み固化することで接着が成り立つ。物理的相互作用はファンデルワール力や静電気相互作用などの共有結合を伴わない分子間相互作用によって成り立つ。また、化学的相互作用は共有結合により接着が成り立つ。

 

 非相溶な高分子同士の界面は多くの場合絡み合いを形成しないため通常は接着することはできないが、この異種高分子界面を接着させる手法として、共有結合による接着、ブロック共重合体による絡み合い形成などが提案されている。しかし、絡み合いを形成するような分子量のブロック共重合体は高分子量体であるため、少量添加では効果が期待できず、また、絡み合いによる接着では接着強度に異方性を持たせることは難しい。

 

 本発明では、低分子量のブロック共重合体を高分子界面に偏析させアンカーのように配向させるため、面ファスナーのように界面に対して水平方向の変形に強く、垂直方向の変形に弱い異方性を持った接着を実現する。また、分子鎖の引き抜きのみで剥離が進行し、破壊を伴わないので再接着が可能となる。

 

新技術の特徴

 ・異方的接着

 ・易解体性

 ・再接着

 

想定される用途

 ・集積構造

 ・複合材料

 ・多段階接着

研究者

平田 豊章 工学部 繊維先端工学講座