薬剤と放射性同位元素を同時封入可能な生体分解性ミセル

2022.10.07

医学部 ライフサイエンス ナノテク・材料ものづくり技術
密封小線源治療 前立腺がん ドラッグデリバリーシステム 両親媒性高分子 温度応答性

概要

 早期前立腺がん治療に有効な手段として広く知られている密封小線源治療は、金属カプセルに放射性同位体元素を密封したもの(線源)を患者の体内に挿入することで内部から放射線を照射する治療法です。しかし、この方法は、線源が体内に残留することや、金属カプセルを用いるために治療部位が限定されているという課題があります。

 

 本発明では、親水性高分子鎖と疎水性高分子鎖をもつ新たな両親媒性高分子の設計により、生体内で分解し排泄される、放射性同位体元素と低分子薬剤とを一緒に内包することができる高分子体を開発しました。その結果、局所注入が可能であり、前立腺

 

 

●発明の名称:両親媒性高分子、およびその利用

 

●出 願 番 号 :特許7154568

 

●発 明 者:牧野  顕  清野  泰  岡沢  秀彦

 

 

特 徴

・放射性同位体元素と薬剤を両方を内包可能

・生分解性     … 金属カプセルのような体内への残留がない。(ポリ乳酸を使用)

・高い薬剤の内包率 … 自己高分子の自己集合化による薬剤の封入効率は58~96%。
            実験による平均封入効率83%。(抗がん剤「Docetaxel」を使用)

・特異な温度応答性 … 特定の温度で変形が可能。
            注入部位(患部)で凝集させることで線源の脱落リスクの軽減。

・優れた徐放性   … 薬剤の放出率→100%・放射性同位体元素の漏出率→5%以下。

研究者

牧野 顕 医学部 高エネルギー医学研究センター