連続的偏光制御可変型スピントロニックテラヘルツ放射素子開発

2023.01.31

遠赤外領域研究開発センター ナノテク・材料ものづくり技術 環境・エネルギー
テラヘルツ スピン流 THz分光 スピントロニックエミッタ

概要

 近年、磁性金属/非磁性金属の薄膜2重層をレーザー照射して過渡的スピン流を誘起し、逆スピンホール効果によるスピン流の実電流変換を利用して、THz波放射を得ることができるようになった。磁性金属/非磁性金属の薄膜2重層から放射されるテラヘルツ波は非常に広帯域(30THz)で、安定かつ安価なフェムト秒レーザーの波長帯(1mまたは1.55m帯)でも励起可能であり、素子製作コストを従来よりも大幅に抑制できることから次世代のテラヘルツ波放射素子と言われている。

 また、印加する磁場の方向を変えることで、自由に発生するテラヘルツ波の偏光方向を制御することが可能であることも、大きな利点の一つである。磁場の偏光方向を制御することができれば、テラヘルツエリプソメトリーなど偏光特性を利用した分光法に応用できる。

 

 本研究では、連続的偏光制御可変型スピントロニックテラヘルツ放射器の開発を行うため、磁場回転機構が一体となったスピントロニックテラヘルツ放射素子によるテラヘルツ波の偏光制御技術の確立を目指し、連続的偏光制御可変型アンテナマウントの開発放射器マウントの開発を行った。リング磁石を使用して15mTの強度を持つ磁場の方向を回転面内で自由に配向制御できるように設計製作したアンテナマウントをTHz-TDSに組み込み、時間波形を測定した結果、設計通りの偏光面回転特性が得られていることを確認した。

研究者

北原 英明 遠赤外領域研究開発センター